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2004-11-02

テレビのはなし②

テレビのはなしの連載もこれでおしまい。最後に、先日見た「スーパーテレビ情報最前線 潜入!青木ヶ原樹海 魔境その奥の奥」について書きたい。この番組は、これから森に入って死のうとする人間たちの姿を追ったドキュメントで、今も私の心に強烈なインパクトを残している。
ある日の白昼、山歩きにしてはやけに軽装な男性が「青木ヶ原入り口」バス停に降り立つ。番組取材班は、公道をぶらぶら歩いていく彼のあとをそっと追いかける。散策目的かな、と思いきや、彼は突然ふっ、と道から消える。森の奥へと入っていく彼に取材班が声をかけるが、彼は歩みを止めず飄々と嘘をつく。(番組には同じ行動をとった2人の男性が登場したが、実際、取材班が声をかけたのは10人ほどだったそうだ。)
自分のあとをついてくる取材班にAさんは「山歩きをしている」と答え、Bさんは「森を抜けて民宿へ行く」と答える。
Aさんは取材班の誘導でかろうじて公道へ戻ったが、その後の行方は不明だという。Bさんは取材班と民宿へ行き、一晩話を聞いてもらって気持ちが落ち着いたようで、静かに樹海を去っていった。今ごろ二人はどうしているだろう。
警察の発表によると、年間50~80ほどの遺体が樹海で発見されるらしい。
生命力を失っているはずの彼らが、テレビの中では不思議とまぶしく輝いて見えた。
★2004.11「日々の新聞」より


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