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2017-09-03

外房レコーディング。

お隣の御宿の、年季の入ったリゾートマンション10階にあるくらはしギターウクレレスクールでレコーディングをした。
以前からお願いしていたのがやっと実現した。
お願いしていたといっても、先生と曲とのフィーリングや、機材や空間との相性もあるから、実際やってみないとどうだかわからない。
とりあえず1曲だけレコーディングしてみようという気持ちで挑んだ。

先生は、過去に河村隆一や平野綾などのサポートをしていたギタリストで、伝説のエフェクター職人H氏を追いかけて御宿に移住してきたという。
さらに9月からはいすみにレコードカートリッジ職人A氏も移住してくるし、耳の良い人々が近くにいるのは心強い。

 

 

特に揉めることもなく、レコーディングはスムーズに進んだ。

私の曲に先生がギターを吹き込んだら、もうぜんぜんびっくりするほど見違えちゃって、私のボーカルも8割増しくらいに聴こえるから不思議だ。普段、自分の下手なギターやウクレレで自分の曲を演奏しているのが曲に対して申し訳なく感じた。

サビの部分に急遽ギターを追加したくなり、先生に「グワッとしたちょっとクドめの泣きのギター、誰に例えれば良いかな、そうだサンタナみたいなのをお願いします」と言うと、少し考えて本当にサンタナみたいなギターを弾いてくれた。
私はそれでバッチリだと思いOKを出したのだが、先生は「いや、ちょっとこれオヤジに偏っちゃってるよ。せっかくの曲のサビに突然オヤジのギター入ってきちゃったら曲が台無しだよ」と自分にNGを出し、しばらく考えて、「モータウン系でどうだろう」と違うフレーズを考えてくれた。
「モータウンというかクラプトンだな、これは」と言いながら、最高のギターを弾いてくれたのだった。
そして私は「泣き」のギターで本当に泣いてしまったという始末(心の中で)。

サビに語りを入れようと思っていたのだが、先生の「ダサいんじゃないの?」の一言で速攻却下した。
結果、入れなくて良かったと思う。

この日レコーディングした曲は、自分で言うのもなんだが思った以上に素晴らしい仕上がりになった。
「70年代前半の歌手のシングルB面っぽい曲ですね、すぐ消えた歌手の」なんて、自虐的に言いつつも、そこがまさに自分好みなポイントである。先生がアナログっぽい音にこだわってくれたのも良かった。
自分の溜まっていた思いがようやくこれで昇華されたような、久しぶりの満足感と至福感に浸った。

レコーディングの途中、天井を誰かがバタバタ走り回る音がした。
「走ってますね」と先生。「上に、誰も住んでないんですよ」
たまに、あるらしい。古いマンションだから、あるのかもしれない。
私は、勘が冴えていたのか、男の子の姿が見えてしまった。
その子の様子を先生に説明し、「飴か何か、甘いものを置いてあげてください」と、江原さんみたいなことを口走った。

この調子で、少しずつレコーディングしていこうと思う。

 

最近は毎日音楽をやめることばかり考えていた。
年齢的にも、時間や金銭的にも、続けるためにはますます高い志が必要になってくる。または、ゆるく続けるか。
ギター教室に通うようになって、少しは上手くなった気はするが、ギターが、ライブが、やはりどうしても苦手だ。
何年かやった上での最終結論である。
とりあえず今は、良い音源を形に残すことを目標に踏んばっている。
今の自分に「夢を追いかける」という概念はない。ひとつひとつ筋を通すことで精いっぱいな日々。
かといってあまりがんばりたくはない。
がんばっちゃうと自分の良さがなくなってしまう気がする。
がんばらない感、大事にしたい。

そんな日々の中、ほんのつかの間の「続けてきて良かった感」を味わった外房レコーディングだった。

 

9月13日(水)渋谷 喫茶SMiLE「Singin’on the bridge Vol.36」
アヤトピアは21:10~、トリで出演します。
聴きに来てね。

 

 

 

9/13(水) 渋谷・喫茶SMiLe ライブ情報


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