ホテルの部屋から見る、名護湾。
幸い、丸1日、晴れの日があったので、ゆっくり名護の海を眺めて過ごした。
遠くには、辺野古の埋め立て用の土砂を汲むタンカーがポツ、ポツと見える。
沖縄に着いたのは、プロ野球のキャンプの最終日あたりだった。
はじめは、1人で沖縄キャンプめぐりをするつもりで予定を組んでいたのだが、ままも一緒に行くことになり、だったら今回はキャンプはいいやとなった。
人ごみが苦手だし、どうしてもプロ野球キャンプに行きたいというほどの熱はなかったから。
旅のきっかけはなんでもいい。
朝食ビュッフェがおいしいのと、立体駐車場でないこと、その他諸々…を条件に選んだ今回の宿は、沖縄ホテル、ベストウェスタン沖縄幸喜ビーチ、ホテルアンテルーム那覇。
どのホテルもラグジュアリーではないものの、清潔感と個性があって、とても良かった。
そして、病み上がりのままの体調に配慮し、たくさん歩きまわらなくていいように、レンタカー移動メインにした。
ままは、自称・霊感が強い人だ。
ままは沖縄に行くのも、最初はかなりためらっていたから、私はホテルの立地や訪れる観光地に気を遣った。
けれど、幸い、何も起きなかった。
旅の終わりに「ぜんぜん大丈夫だった。どこに行っても嫌な感じはしなかった」と、あっけらかんとしていた。
沖縄には、かつて多くの人が命を落とした暗い記憶がある。
けれど、「地元の人たちが丁寧に祈り、鎮魂の供養を重ねてきたんだろうね」と、ままは言った。
ペナン島で感じたそれとは、どこか違う、と。
以前、ままとペナン島を訪れたときのことを思い出す。
宿でままはひどい腰痛に襲われて寝込み、私もまた、猛烈な金縛りに遭い、はっきりと、おぞましい「何か」に触れてしまった感覚があった。
あれは、ホテルの部屋に憑いていたというより、日中に訪れたとある歴史的な観光地から連れてきてしまったのだと思う。
もし「怨霊」という言葉があるのなら、確かにそう呼ぶしかないような存在だった。
人とも動物ともつかない、得体の知れないもの。
他人が信じるかどうかはどうでもいい。エセ霊能者みたい、と自分でも思う。
あの島には、さまざまな事情でほったらかしにされ、行き場を失った魂が無数に存在していた。
まだ癒えていない、その土地の傷の痛みは、現地に行ってみないと感じ得ないものだった。
沖縄の空は、びっくりするくらい静かだった。轟音を放つ黒い機体があまり飛んでいない。
米軍が、中東に向かうために宮古島に集められているニュースを目にした。
平和を、強く言葉にして行動していかなければならないと思った。


















