あの日は、都内でライブのお誘いをいただいていた。
実現すればかなり久しぶりのライブで、自分にはもったいないくらいの素敵な会場だったが、実家でお盆の接待や墓参りの運転手などしなければならず、残念ながら見送った。
もし出演していたら、私は楽器類を積んだ車でライブ遠征し、会場まで電車で往復できる駅近のホテルに宿泊していたと思う。
都内のホテルは信じられないくらい高騰しているので、だいたい千葉市内で探す。
千葉みなと駅前の某ホテルには先月も所用で泊まった。
そのホテルの宿泊者は平面駐車場が無料で使えて出し入れも自由。
ライブ遠征のほか、ZOZOマリンでの野球観戦の時などいつも助かっている。
千葉中央駅前の定宿ホテルは、駐車場が地下にある。
あの日、千葉は記録的な大雨になった。
千葉みなとのホテル周辺の敷地が、車がすっぽり見えなくなるほど水につかっている様子をニュースで見た。
千葉中央駅前のホテルの地下駐車場はどうなったのだろう。
あの日、ライブ遠征していたら、愛車はどうなっていただろう。私はホテルに戻れただろうか。
考えるだけで、ぞっとする。
去年もおととしも、その前の年も、地球温暖化の進行による猛暑が続き、雨があまり降らず、全国各地、畑が干からびたり、庭木が枯れるニュースを目にすることが多かった。
今年は逆に、水害の年なのか。
千葉では、ちょうどこれから稲刈りが始まる。
低地にある田んぼは泥水につかり、もう少しで収穫だったのに、本当に心が痛む。
YouTubeには、あの日の豪雨の中、「帰宅困難車」が走行するドライブレコーダー動画がたくさんUPされている。
自動再生にしていると、県内各地の水没した道の様子が延々と流れ続ける。
増水した道の前で右往左往し、何度も引き返しながら、かろうじて通れそうな道を探して進んでいく。
あちこちに屍になった車が不自然な角度で停まり、まだ動く車がその間をぬって走っていき、やがてまた次の動画が始まる。
それをテレビの画面いっぱいに映して、無表情で見ている私。
怖いのか、悲しいのか、ただ呆然としているのか、見続けているうちに自分でもよくわからなくなった。






