アゝ、あれはついにだめになったか

 

下は、「四角との対話」裏表紙の引用コピー候補文。この中から、どれを選ぼうか悩んだ末、第42回の「イーハトーブ……」のくだりを掲載することにした。個人的には第45回の「『アゝ、あれはついにだめになったか』……」の文も好きだ。

4.
しかし、暗がりの中で目をひらき、じっと耐えていると、段々と、かすかに何かが見えてきた。それは、ものごとは装いをとりはらうと単純なもので成りたっているのではないか、という認識であった。

7.
たしかに、絵の具の一つひとつは、どの色もそれ自体、単独でも美しい。しかし、その美しさは――純粋というよりも、知性の欠けた白痴に近い単調な美しさにすぎないのだ。
色は、それを選びとった者の心の純粋さの度合いによって、別のいのちが与えられ、生きるも死にもし……美しくも、またみにくくもなる。
選びとられたその色は、愛する者の手によって、新たな使命を与えられ、キャンバスの上で、他の色と激しく戦うことに身をさらす。そのとき対峙する、色と色とのかねあいによって、次第にその表情が豊かにも、また深くも、浅くもなってゆく。

8.
たとえば――。人は生きるために、善意で罪をかさねていく。自分が白であると感じる時は、まわりが自分よりも汚れて黒に近い時だけである。比較によってしか自分が白であることを証明出来ない程度の白さなのだ。しかし、それは決して白くはないのだ。
この社会の中で、人並みに生きながら、白でありつづけるには、己の中に高い自浄能力をもつか、まわりを白でとりかこむ以外にない。しかし、それはむずかしい。今の社会の中では、黒に近い白でないと生きられないことになっているからだ。

それが、風景の中で、その白を、地面でもなければ、さりとて雪でもないものにした。私は私自身のなかにある凍ばれるような硬質の空気と柔らかい大地のような何かを求めつづけた。

12.
私にとって絵を描くとは――自分が失ったであろう過去の顔と、これから日々変わっていく自分の本当の顔との出会いや求めあい、また知るための作業にしかすぎない。
そして、それは、画面の中で祈るような気持ちで、自分の犯したひとつひとつの罪と向きあうことからはじまった。

白い世界には、罪を重ね、それを悔やみ、別れにも耐え、泣くことも、悲しむことも、自分が孤独であることすらをも、心で感じる余裕を失った人しか住めない。
それは、男でもなければ、女でもなく――他人に背中だけしか見せることが出来ない人々であれば良かった。
顔のある、正直でない、他人を支配したがる人間臭い者は、この白い地の表をかかえた世界では、とても生きていけないからである。
その、厳しく清潔な……、やわらかい白い地表こそ、今では、私にとって心のやすらぐ大地であり、私を支え、育む――精神の母体であると思われるようになった。

16.
今の自分は、そこへ戻りたくても、すでに戻りようがないほど、遠く離れた別の地点に立っている――かつてのその透明な精神に、今の自分の精神を重ねながら、私は心がキリキリと痛むのを感じていた。

17.
創作とは感動したものを描くことではない。自分が真に感動すべきものを自らの手で、創り出していく作業である。
他人は決して、一〇〇%自分自身を感動させてくれるものはつくれないからである。

33.
白の柵から、黒を解放してやりたい――それはまた、永らく白にとらわれて来た自分の心の自由さを獲得することでもあると思った。あるいは、その事で、自分の心の解放にまでは至らないとしても、やるだけのことはやってみようと決心した。

35.
「芸術はのろさを要求する」というロダンの言葉が、あまりにも真実であるだけに、今の時代を生きている私には重い実感となって迫ってくる。

42.
私の心の中の「イーハトーブ」で、私は私自身の姿を追い求める――。それは恐らく精神的な飢えの盲動と呼べる行為であったかも知れない。そういう青春であればそれこそ、今、私は自分に才能があるかないかなどということを、重要な問題としては考えていない。また、そんなことはどうでもよいことなのだ。

45.
他人が私をどう評価しようと、私はかまわない。「アゝ、あれはついにだめになったか」と思われてもいたしかたないのだ。私にとっては、そんな――だめになっていく自分を見るのがまた楽しみである。

 



2015-09-09 | Posted in BLOG, DESIGN, OTHERS, WORKComments Closed 

父の幻の随筆「四角との対話」が出版・公開になりました。

ようやっと告知解禁です。
父・松田松雄がいわき民報紙上で1979年の1年間、45回にわたり連載していた幻の随筆「四角との対話」が晴れて出版となりました。BCCKSにて、電子書籍と紙本の両方入手できます。
「四角との対話」を本にしようと決めたのは、今年10月の父の展覧会が正式に決まった3月末のこと。この本を表に出すなら今のタイミングしかないと思いました。(父の研ぎ澄まされた文章を、多くの人に読んでもらいたいです。)
出版を展覧会に間に合わせるために、一般的な出版社を通したかたちではなく、オンデマンド出版というシステムを利用してみました。

http://bccks.jp/bcck/136050/info

紙本はペーパーバック仕様です。紙本は10月3日(土)からの岩手県立美術館「松田松雄展」会期中、ミュージアムショップでも販売予定。この本を読むと、父の作品をより立体的に感じられるのではないかと思います。

BCCKSで立ち読みもできますので、一度のぞいてみてください。
あとがきと宣伝文は、いわき民報で当時「四角との対話」連載の担当だった吉田隆治氏に書いていただきました。

四角との対話』 松田松雄著

●本の説明
画家になると宣言して10年。40代にさしかかった松田松雄(1937-2001)がいわき民報に連載し、「私小説的美術論」として高い評価を得た、原稿用紙330枚分の随筆「四角との対話」。夕刊連載から36年後の2015年秋、ついに娘・文の手によって父親が中断した書籍化を実現。精神の求道者・松田松雄の創作の原点に触れる「独白」のかずかずが、清冽な地下水となって読む者の魂の奥底に届く――。

 

また、電子書籍はKindle、楽天KOBOでも販売開始しました(こちらは画像のレイアウトが少し崩れます。読む分には問題ないと思います)。


2015-09-07 | Posted in BLOG, DESIGN, OTHERS, WORKComments Closed 

9月イラスト

9月某イラスト。(クリックすると拡大します)

9月っぽいイメージのうさぎと月を、今すぐ食べたいピザにトッピングしてみた。

クリスピータイプが好きだけど、パンタイプを描いちゃった。

お腹がすいている。


2015-09-07 | Posted in BLOG, ART, DESIGN, WORKComments Closed 

8月イラスト

某事務所のHPヘッダー8月イラスト、描きました。

 

バナー1

 

バナー2

 

猫派だけど、犬もたまらない。

 


2015-08-04 | Posted in BLOG, ART, DESIGN, WORKComments Closed 

PEACE×PEACE

2015-07-19 | Posted in BLOG, DESIGN, WORK, IKAUIComments Closed 

鈴木さんのお家でライブvol.4「おせちナイト」開催のお知らせ

20141103_1221225

情報解禁です。0がいっこ少ないお得なディナーショーのお知らせです。
鈴木さんのお家でライブvol.4「おせちナイト」
12/27(土) PM6:00 OPEN  PM7:00 START
体にやさしいおせちビュッフェ付 2.300
小学生以下無料 店向かいに駐車場あり
電話予約制 限定30名様
出演:ミーワムーラ、グチヤマ ex.Spa Resort Nucleans、アヤトピア
会場:創庵cafe(創芸工房隣)  いわき市鹿島町走熊小神山60-1
TEL.0246-29-3826
http://g-sougei.com/
※ご予約は、私の連絡先を知っている方は私に直接でも結構です。
ライブを聴きに行ってみたいけど、ライブハウスに足を運ぶのは敷居が高くてちょっと勇気が……という方にも好評いただいている、ヘルシーなビュッフェごはん付きの「鈴木さんのお家でライブ」シリーズ。
年末は「おせちナイト」にぜひいらしてください。会場の創庵cafeは、cafe棟に加え、ギャラリーにも薪ストーブが入り、身も心も(お腹も)あたたかい気持ちで音楽を楽しめるはずです。
ご来場、お待ちしています!


2014-11-03 | Posted in LIVE, MUSIC, SCHEDULE, DESIGN, NEWSComments Closed 

「福島・沖縄交流企画 鈴木さんのお家でライブ Vol.3」のお知らせ

福島・沖縄交流企画 鈴木さんのお家でライブ Vol.3
「映画上映会とライブの夕べ。」

9/23(火・祝)OPEN PM:5:30  START PM6:00
ビュッフェスタイルのおいしい沖縄料理付き 2.300
(小学生以下無料 店向かいに駐車場あり)
               電話予約制 限定20名様
映画「シバサシ -安里清信の残照- 」×ライブ「ミーワムーラ」
PM6:00~ドキュメンタリー映画上映
「シバサシ -安里清信の残照- 」
2012年制作  90分  監督・輿石 正(じんぶん企画)
・もし、40年前の反CTS闘争がなかったら 沖縄にも原子力発電所ができていた。
愚かなる戦争をくぐりぬけた己を忘れず 経済的な豊かさとは違う
本当の豊かさを守るため 死の直前まで住民と共に闘い続けた
沖縄の思想家 安里清信の一生を追った映画 です。
*シバサシ=沖縄諸島で行われる物忌(魔除け)の行事で、ススキなどを屋敷の四隅に挿す。

PM7:30~ライブ「ミーワムーラ」
・「シバサシ」の挿入歌「祈り歌」を歌っています。
☆お食事をしながら、映画とライブをお楽しみください。
KomorebiCafeも出店します。
※森で育った香り高いエチオピアコーヒーをご用意しております(別料金)。

※お食事を用意する都合上、万が一予約をキャンセルされる方は恐れ入りますが前日までにご連絡をお願いいたします。
電話予約→ TEL.0246-29-3826
「創庵cafe(ギャラリー創芸工房)」
〒971-8141 福島県いわき市鹿島町走熊小神山60-1
http://g-sougei.com/
今回私は裏方です!
よろしくお願いします。    ayatopia


2014-08-19 | Posted in BLOG, DESIGN, WORKNo Comments » 

「home party in home 鈴木さんのお家でライブvol.1」のお知らせ

home party in home 鈴木さんのお家でライブvol.1
4/12(土) 18:30 OPEN  19:30 LIVE START

LIVE
渡辺俊美
ayatopia

ラウンジDJ
Rockin’Emotion

会場
ギャラリー創芸工房隣
「創庵cafe」

福島県いわき市鹿島町走熊小神山60-1
TEL.0246-29-3826
http://g-sougei.com
走熊通信 http://blog.g-sougei.com/

ビュッフェスタイルのヘルシー夜ごはん付き!
1.800円(おみやげあり)

電話予約制 限定30名様
小学生以下無料
1品持ち寄り歓迎(お酒も歓迎)
「鈴木さんのお家に来たら、まるで気のおけない友人を
尋ねるような気持ちで、玄関で靴をぬいでお上がりください。
そこにはアナログレコードの心地良い音楽が流れ、薪ストーブに
あかあかと炎がゆらいでいます。
好きなところでくつろいで世間話するも良し、ぼーっとするも良し。
キッチンカウンターにはいつでもお召し上がりいただけるおいしい
お惣菜やデザート、飲み物が並んでいます。
今回のアコースティックライブのアーティストはayatopia、
そして”TOKYO No.1 SOULSET”の渡辺俊美。
ライブが終わった後も、楽しい語らいと素敵な音楽は続くでしょう。
home party in homeに、どうぞ遊びにおいでください。
主催者(私)より」
という訳で!
急なんですけど!
あの!尊敬してやまない
渡辺俊美さんと2マンライブをします!!
(前座じゃなくて)「対バンだからな!!」と言われております!!いきなりどうしよう!!
おらドキドキがとまんねぇ!!とまんなすぎる!!!!
アタイの男気試されてる……!!
ああやっぱりドキドキがとまんねぇ!!
ご予約は基本的にお店へ電話をお願いしていますが、
私とつながりのある方は私へ直接電話かメールでも結構です。
※やむを得ずキャンセルされる場合は、ごはんを用意する都合上、早めにご連絡いただけると幸いです。
私は、歌を歌い、皿を片付け、時には皿を洗いながら、お客さんとたくさんお話をして、ゆったりと自分なりのおもてなしをしたいと思っております。

それでは、ご予約、お待ちしています。

ayatopia


2014-03-17 | Posted in LIVE, MUSIC, SCHEDULE, DESIGN, NEWSComments Closed 

これまでの活動など

自分のこれまでの活動をざっくりとまとめてみました。

月刊ぱお広場→ 3号 4号 5号 6号 7号 8号 9号 10号 11号 12号
・仮設住宅住民の方々の交流サロン&広場「パオ広場」の立ち上げから運営に1年間携わっていました。
その時広場周辺の仮設住宅(約1000戸)に配っていた新聞です。

パオ広場完成イメージイラスト by Aya Matsuda

ASAHI ART FESTIVAL #10 松田 文(パオ広場)

・↑パオ広場勤務時代に書かせていただいたコラムです。

20140525_1062937
ソトコト 2012年2月号 「ソトボラ新聞」より

 


 

放射能から身を守る
・↑イラスト&冊子デザイン&取材&編集させていただきました。こちらは旧訂版ですね。


 

Art Port Onahama (公式ブログ)
・↑福島県いわき市小名浜の休眠中の倉庫をメイン会場とした、市民でつくるアートプロジェクトの代表をしていました。ブログはデザインが古くて見づらくなってしまいましたが。
このプロジェクト、2008年で途切れてしまいましたが、実際は2010年も、2011年もプランを作成し、準備をしていました。しかし、震災後、原発事故のこともあり、遠方からいわきに人を呼ぶイベントは自分にはできない…と思い、このプロジェクトは一旦終わりにしました。

tetoteonahama SUPERLOCAL 010 / interview 松田 文
↑「検証:失敗から考えるアートポート小名浜」というタイトルで、取材していただきました。
(「失敗」とありますが、関わってくださった皆さんにはとても感謝しています。実り多く、楽しかったです。)

Art!Port!Onahama2008 フライヤー(Design by Kumiko.K)

Art!port!Onahama メイン会場パフォーマンススケジュール

 

 

アートポート小名浜A4たて表out 1200アートポート小名浜A4たて裏out

1200会場リストA-9

 

↓Art!Port!Onahama2008

↓Art!Port!Onahama2007


2013-10-25 | Posted in DESIGN, WORKComments Closed